地方都市のランチタイムにおいて、平日・休日を問わず40人から50人規模の行列が恒常化している光景は極めて異例です。清水港みなみがこれほどの熱狂を生み出す背景には、単なる「美味しい海鮮丼」という言葉では片付けられない、静岡のまぐろ水産ネットワークに根ざした明確な構造的強みが存在します。
最大の理由は、水揚げ量日本一を誇る静岡の冷凍まぐろ水産会社「焼津港丸入商店」の直営・連携ルートによる、圧倒的な原料調達力にあります。一般の飲食店が高級寿司店向けの競りや仲卸を経由して仕入れる「最高級の天然南まぐろ(インドまぐろ)」を、中間マージンを極限まで削ぎ落とした卸直営ならではの破格値で提供できる仕組みを構築しているのです。
天然南まぐろは、別名「赤いダイヤ」とも称され、本まぐろ(クロマグロ)に匹敵する強い旨味と、ねっとりとした濃厚な脂の甘みが特徴です。東京・銀座の高級割烹で食せば一杯4,000円〜5,000円を下らないレベルの天然南まぐろ丼が、清水港みなみでは2,000円前後の価格帯で提供されています。この「価格と味覚の極端なギャップ(価格破壊)」を一度体験した顧客がリピーターとなり、SNSでの口コミ拡散が新たな遠方客を呼び続ける好循環が大行列の正体です。