10年前を思い出してほしい。11月の肌寒い夕暮れ時、レジのすぐ横でグツグツと音を立てるステンレス鍋。大根や卵、つみれが琥珀色のスープの中で踊り、店員がお玉で丁寧にカップへ盛り付けてくれる。あの光景は、日本のコンビニ文化の象徴だった。
だが、店舗のオペレーション負荷は限界に達していた。保温温度の管理、数時間ごとの具材入れ替え、そして閉店時に破棄される大量のスープと具材。人手不足が常態化した2026年代半ばを経て、2026年現在の店頭からは「オープンスタイルのレジ横おでん」がほぼ姿を消した。代わりに鎮座するのは、レトルト技術の極限に挑んだ高機能パックや、注文を受けてからわずか40秒で完璧な加熱と食感を実現する「スチーム&スチコン型」の調理機器だ。