「解の公式を使わずに、なぜ係数だけで解の和や積が分かるのか」という疑問の答えは、恒等式の性質に隠されています。方程式の解が $\alpha, \beta$ であるということは、左辺の多項式が $(x - \alpha)$ および $(x - \beta)$ を因数に持つことを意味します。
最高次の係数が $a$ であることから、恒等式として次の等式が成立します。
$$ax^2 + bx + c = a(x - \alpha)(x - \beta)$$
右辺を展開して整理すると、次のようになります。
$$ax^2 + bx + c = ax^2 - a(\alpha + \beta)x + a\alpha\beta$$
両辺の同じ次数の係数を比較すると、一次の項は $b = -a(\alpha + \beta)$、定数項は $c = a\alpha\beta$ です。両辺を $a$ ($a \neq 0$) で割ることで、あの有名な公式が自然と姿を現します。解の公式を経由することなく、式の構造そのものから直接情報を取り出しているからこそ、どんなに複雑な係数であっても瞬時に答えが導き出せます。