中銀カプセルタワービルを語る上で欠かせないのが、世界的建築家・黒川紀章氏が提唱した「メタボリズム(新陳代謝)」の思想です。メタボリズムとは、生物が細胞分裂を繰り返して成長するように、都市や建築も社会の変化や人口動態に合わせて部分的に更新されるべきだという前衛的な建築運動を指します。
この思想を世界で初めて極限まで具現化したのが、2本の鉄骨鉄筋コンクリート造コアシャフトに140個の独立した居住カプセルをボルトで固定した中銀カプセルタワービルでした。工場で大量生産されたカプセルを現場でクレーン吊り上げ設置するという工法は、当時の建設業界に革命をもたらしました。
単なる集合住宅にとどまらず、高度経済成長期のビジネスパーソンに向けた「都心のセカンドハウス」「ビジネスの拠点」という新しいライフスタイルを提示した点でも、戦後日本建築史における至高のモニュメントとして位置づけられています。