日本国内で住宅に甚大な食害をもたらす代表種は、北海道の一部を除く全国に分布する「ヤマトシロアリ」と、温暖な沿岸部を中心に猛威を振るう「イエシロアリ」の2種です。両者は羽アリを飛ばす季節や時間帯、行動パターンが明確に分かれています。
ヤマトシロアリの羽アリが飛び立つ時期は4月中旬から5月下旬の昼間です。特に「雨が降った翌日の気温が急上昇した蒸し暑い日の正午前」に集中して群飛(スウォーム)を行います。体色は黒褐色から黒色をしており、一見すると黒アリと見間違えやすい特徴があります。一方、極めて加害スピードが速く建物全体を破壊するイエシロアリは、6月から7月の蒸し暑い夕方から夜間にかけて街灯や室内の明かりに激しく群がる性質を持っています。体色は黄褐色から赤褐色で、光に向かって飛来するのが特徴です。
なぜ羽アリはこれほど一斉に大量発生するのでしょうか。その理由は、巣の中の個体数が増加して過密状態になった際、新たな巣を築くために選ばれた次世代の女王と王(生殖虫)が一斉に飛び立つ繁殖行動だからです。群飛する羽アリは巣全体のわずか数パーセントに過ぎず、羽アリが数十〜数百匹飛び出したということは、その直下や壁の奥に数万匹から数十万匹の働きアリ・兵アリが潜伏していることを意味します。