昭和50年代の終わりに巻き起こった「天中殺ブーム」では、ワイドショーや女性誌がこぞって「一家離散」「悲惨な転落」とセンセーショナルに書き立て、社会現象と化した。さらに1980年代以降、細木数子氏による六星占術が「大殺界(だいさっかい)」のフレーズで大衆を席巻したことで、「この世の終わりがやってくる」というトラウマ的イメージが定着してしまった経緯がある。
こうした言説の背景にある系譜を整理すると、本質が見えてくる。
算命学の宗家が説いた原義において、天中殺とは「天の気が味方しない=常識的な限界のリミッターが外れる」状態を指す。天井が突き抜けているため、普段なら到底成し得ないような異次元の成功を収める人がいる一方で、欲張って土台のない高層建築を建てようとすれば脆くも瓦解する。すなわち、「自らの器以上の結果を強引に取りに行こうとすると歪みが生じる」という自然の摂理を説いているに過ぎない。根拠のない呪いや悪魔の仕業であるかのように恐れる必要はまったくないのだ。