ネット上のコミュニティでは時折「主人公ゴンが不人気と言われる真相」というトピックが議論を呼びます。しかし、歴代の公式投票データを検証すれば、ゴンは第1回(3位)、第2回(3位)、第3回(3位)と、常にトップ3の座を死守しており、決して不人気だった事実はありません。
ではなぜ「不人気」という言説が生まれたのか。その背景には、作者である冨樫義博公式キャラクター設定が意図した「王道少年漫画の主人公像の脱構築」があります。ゴンは純粋無垢でありながら、善悪の基準が世間一般と大きく乖離しており、目的のためには自らの命や肉体すら平然と差し出す狂気を秘めています。
特にキメラアント編終盤、カイトの死を受け入れられずに自らを急成長させた「ゴンさん」の覚醒は、読者に感動と同時に底知れぬ恐怖を与えました。この「感情移入のしにくさ」や「危うさ」が、一般的な少年漫画ファンの一部から「共感しづらい主人公」と受け取られたことが、噂の根本的な原因です。
これと対照的なのが、メルエムとコムギのネットの反応です。当初は残虐無比な怪物として描かれたキメラアントの王メルエムが、盲目の少女コムギとの軍儀を通じて人間性を獲得し、最期に寄り添って散っていく幕切れは、Webメディアや読者投票において「少年漫画史上最も美しい結末」と絶賛されました。主人公が闇に堕ち、敵役が人間性を取り戻すという冨樫義博の鮮烈な対比構成こそが、キャラクター人気の力学を複雑かつ魅力的にしています。