なぜこれほどまでに直前キャンセルが常態化しているのか。その要因の一つに、予約ルートのデジタル化とコミュニケーションのカジュアル化がある。
現代の集客において、作品集を披露するInstagramは不可欠なツールとなった。美しいデザインや施術風景がタイムラインに流れることで、ユーザーはスマートフォンをタップするだけで気軽にアーティストへアプローチできる。そして実際のやり取りはLINEを通じて行われるのが主流だ。
この極めてスムーズな導線が、皮肉にも予約に対する責任感を薄れさせている。「友達にメッセージを送る感覚」で予約を完了できるため、一生体に残るアートを刻むという重みがクライアント側で希薄化しやすい。トーク画面をブロックするか通知をオフにすれば、相手との関係を簡単に断ち切れてしまうデジタル特有の無機質さが、ドタキャンへの罪悪感を麻痺させているのだ。