「旬の時期がずれているなら、いちごが最も甘くて美味しい時期はいつなのか」という疑問が当然湧きます。糖度計を用いた栽培現場の実測データや農業試験場の研究報告によると、いちごが一番甘い時期は「1月中旬から2月下旬」の厳冬期です。
いちごの甘み(ショ糖・ブドウ糖・果糖)の蓄積量は、開花してから収穫に至るまでの「日数」と「気温」に強く依存しています。春先(3月下旬〜4月)の温暖な時期は、開花から収穫までわずか30日前後で急速に赤くなります。果実の肥大スピードが速いため水分を多く含み、みずみずしく酸味とのバランスが良い軽快な味わいになる反面、糖分をじっくり蓄える時間は短くなります。
対照的に、厳冬期の1月から2月はハウス内の夜間気温が低く保たれるため、開花から収穫までに45日から60日近い時間を要します。植物は日中の光合成によって作られた光合成産物(でんぷん等)を夜間に糖へと変換しますが、気温が低いと果実の呼吸による糖分の消耗が極限まで抑えられます。その結果、果肉の組織が緻密に締まり、時間をかけて凝縮された極めて高い糖度と深いコクが生まれます。味の深みや甘さの絶対値を追求するのであれば、1月から2月に収穫されるいちごが年間を通じて頂点に位置します。