揺るぎない家庭という基盤があるからこそ、スクリーン上での佐藤浩市の表現力は年々凄みを増している。主演映画『64-ロクヨン』で見せた広報官としての葛藤と熱量、そして東日本大震災の危機に立ち向かった人々を描く『FUKUSHIMA 50』での命を張った演技は、観客の心に強く刻み込まれた。
一方で、三谷幸喜監督のコメディ『ザ・マジックアワー』では、売れない役者が本物の殺し屋と勘違いされる滑稽かつ愛おしい役どころを完璧に体現。人間の滑稽さと愛おしさを描く重厚なヒューマンドラマにおいて、彼の右に出る者はいない。日本アカデミー賞協会からも長年にわたり高い評価を受け続ける理由は、その飽くなき探究心にある。