日本人の現実?年収中央値と平均値の乖離から紐解く手取りのリアル

日本人の現実?年収中央値と平均値の乖離から紐解く手取りのリアル

日本人の現実?年収中央値と平均値の乖離から紐解く手取りのリアルとはどのようなものなのか? 専門的な分析を簡潔に解説します。

公的統計を注意深く読み解くと、「真ん中の収入」は平均値が与える印象よりもずっと厳しい現状を示している。国税庁が公表する「民間給与実態統計調査」では、日本の給与所得者の平均給与は450万〜460万円前後とされている。しかし、所得の低い順から並べてちょうど中央にくる数値を算出すると、全世代を合わせた実態は約380万〜400万円程度にとどまる。平均値との間には60万円以上の開きが存在しているのだ。

さらに厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を深掘りすると、年代や性別による格差の構造が見えてくる。20代前半の中央値は250万円前後から始まり、30代で350万〜400万円、40代から50代にかけて男性は500万円近くまで伸ばす一方、女性の中央値は生涯を通じて300万円台前半で推移する傾向が強い。非正規雇用の割合や、出産・育児などのライフイベントに伴うキャリア途絶が、数字の上に大きな隔たりを生んでいる。

さらに切実なのが、生活を直接左右する「手取り額」の問題だ。仮に額面年収が400万円であっても、社会保険料の引き上げや各種控除の圧縮によって、実際に口座に振り込まれる金額は年間で約310万〜320万円、月額換算では25万円前後に縮小する。ボーナスが出ない雇用形態であれば、ここから家賃や光熱費、食費を差し引いた残金で生活をやりくりせざるを得ない。この厳しいバランスこそが、多くの働き手が感じる「中流意識の危機」の正体と言える。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。