日常的に鍛えているにもかかわらず、脚のラインが引き締まらない現象には明確な生体力学的理由が存在します。下半身の血液は重力に逆らって心臓へ送り返される構造になっており、ふくらはぎの筋ポンプ作用が十分に機能していない場合、組織間に余分な水分や老廃物が停滞します。これが「第二の心臓」と呼ばれるゆえんですが、筋肉を固めるような運動ばかりを重ねると静脈還流が滞り、かえって脚がパンパンに張ってしまうのです。
さらに重要なのが、ふくらはぎを構成する腓腹筋とヒラメ筋の鍛え分けです。表層に位置する腓腹筋は瞬発力を司る速筋線維の割合が高く、鍛え方次第で外側に張り出しやすくなります。対照的に、深層にあるヒラメ筋は姿勢維持に関与する遅筋線維が主体で、筋肥大しにくく持続的な代謝を支える特性を持ちます。細く見せたいダイエッターが膝を伸ばした状態で高負荷の爪先立ちを繰り返せば、腓腹筋が刺激されて外側への厚みが増してしまうのは当然の帰結と言えます。