ヤゴ飼育のクライマックスであり、最大の難関が「羽化」です。プールのヤゴの多くは5月下旬から7月上旬にかけて羽化の最盛期を迎えます。
羽化が近づくと、ヤゴの背中にある翅芽が黒くパンパンに膨らみ、水面近くまで上がってきて頭や背中を水の上に出すようになります。これはエラ呼吸から空気呼吸へと切り替わった決定的な合図です。このサインを確認したら、その日の夜から翌朝にかけて羽化が始まると判断してください。
羽化を成功させる命綱となるのが「垂直な足場(止まり木)」です。ヤゴは垂直に体を固定し、重力を利用して殻から抜け出し、羽に体液を送り込んで伸ばします。
確実な設置方法は、割り箸を飼育ケースの底からフタに向かって斜め〜垂直に立てかけることです。割り箸の表面にヤゴの爪が引っかかりやすいよう、カッターで少し傷をつけたり、ガーゼやキッチンペーパーを巻き付けておくと滑り落ち事故を防げます。ケースの側面の内側に鉢底ネットや網戸の切れ端を貼り付けるのも極めて効果的です。
羽化は通常、外敵の少ない深夜から早朝にかけて行われます。羽化中のヤゴは極めて繊細です。ライトで強く照らしたり、ケースを揺らしたりすると、落下して羽が折れ曲がる「羽化不全」を起こし、二度と飛べなくなってしまいます。気になっても決して触らず、静かな暗所で見守ってください。