コメディカル(Co-medical)とは、接頭辞の「Co(共に、共通の)」と「Medical(医療の)」を組み合わせた和製英語です。日本国内の医療現場では長年、医師・歯科医師以外の国家資格を持つ医療従事者全般を指す総称として使われてきました。具体的には、看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、臨床工学技士(CE)、管理栄養士、視能訓練士、救急救命士などが該当します。
この概念を理解する上で外せないのが、従前から混同されてきた「パラメディカル(Paramedical)」との決定的な違いです。語源から紐解くと、両者が内包する思想の隔たりが浮き彫りになります。
「Para(パラ)」はギリシャ語起源で「副次的な」「補助的な」を意味し、パラメディカルは直訳すれば「医師の補助者・手元で動く従属者」を指します。米国の救急救命士(パラメディック)のように独立した専門任務を指す事例はあるものの、かつての日本の医療界においては、絶対的な頂点に君臨する医師の指示を忠実にこなす下請け部隊というパターナリズム(父権主義的支配)のニュアンスを色濃く帯びていました。
これに対し、1980年代後半以降に広まった「コメディカル」は、「医師と共に医療を創る対等なパートナー」という理念を掲げて導入された経緯があります。しかし、英語圏では「Allied Health Professionals(連携医療職)」という表現が公的かつ一般的であり、「Co-medical」は海外の学術機関や国際学会では通用しない日本独自の用語に過ぎません。
さらに現場の混乱を招いたのが「看護師をコメディカルに含めるか否か」という長年の神学論争です。保健師助産師看護師法第5条に「療養上の世話又は診療の補助」と規定されていることから形式上はコメディカルに分類されることが多いものの、日本看護協会などは看護学という独自の学問体系と高い自律性を根拠に、医師の枠組みで一括りにされるコメディカルという呼称に異議を唱え続けてきました。