1990年代、スキー界は「V字スタイル」の台頭という歴史的転換期を迎えていた。かつてクラシカルと呼ばれたスキー板を平行に保つ飛翔法から、板を開くV字スタイルへの移行は、揚力を大幅に増加させた。長野五輪は、まさにこのV字スタイルが完璧な完成形を見せた舞台でもあった。
船木和喜が見せた美しすぎる飛翔姿勢は、ジャッジ全員から20点満点を引き出し、「美しいジャンプこそが最も遠くへ飛ぶ」という理想を世界に見せつけた。しかし、この日本勢の圧勝劇は、その後の国際スキー連盟(FIS)による大幅なルール改正——体格や板の長さ制限の厳格化——を引き起こすことになる。白馬で日本が見せた技術的頂点は、世界のジャンプ界の勢力図を永久に変えてしまったのだ。