いま、最も面白い食体験は東京にはないかもしれない。新幹線やローカル線を乗り継ぎ、人口数千人の町や離島を目指す食の旅人たちが国内外で急増している。彼らの目当ては、その土地でしか手に入らない在来種の野菜や、早朝に水揚げされたばかりの未利用魚を使った「ハイパーローカル・ガストロノミー」だ。
地方の若手シェフたちは、自ら山に入って山菜を採り、地元の農家や漁師と密接に連携しながら、唯一無二の献立を作り上げる。流通に乗らない極小規模の食材が、その土地の空気や水とともに提供される贅沢。一極集中から地域分散へという食の潮流は、過疎化に悩む地域経済にも強烈なインパクトを与えている。