月亭方正のキャリアを語るうえで外せないのが、日本テレビ系で年末の風物詩となった『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の「笑ってはいけないシリーズ」だ。毎年恒例だった蝶野正洋からのビンタや理不尽なトラップに対し、彼が見せるリアルな恐怖とリアクションは爆発的な爆笑を生み出してきた。
あの現場に台本は一切存在しない。いつビンタが飛んでくるか分からない緊張感と静寂は、演者にとって過酷そのものだった。ダウンタウンの松本人志と浜田雅功という二大巨頭の隣で、彼は絶妙なポジショニングを保ち続けた。ダウンタウンの二人もまた、方正の天性の愛嬌と計算された「間」の取り方を高く評価しており、彼が落語家へ転身する際にも背中を押し、温かく見守り続けたという。畏怖と信頼が入り混じる独特の関係性が、あの伝説的な笑いの数々を生み出す原動力となっていたのだ。