緑内障の初期症状は極めて潜行性であり、自覚症状に乏しいことで知られます。人間の脳は優れた情報補正機能を持っているため、片方の目の視野が欠けていても、もう片方の目や無意識の眼球運動によって欠損部分を自然に補い、異常を感じさせません。しかし、閉塞隅角の素因を持つ人の場合、急性発作に至る前段階として「見逃しやすい警告サイン」が点灯することがあります。
その代表例が、夜間に街灯や蛍光灯などの光源を見た際、光の周囲に虹のようなリング状の輪が滲んで見える現象、すなわち緑内障における虹視症です。これは、暗闇などで一時的に軽度の隅角閉塞が起こり、眼圧がやや高くなった結果、角膜に微細な浮腫(むくみ)が生じることで発生します。むくんだ角膜がプリズムの役割を果たし、光を屈折・分散させて虹のように見せるのです。
さらに、虹視症と同時に現れやすいのが以下のような緑内障の初期症状と見逃しやすいサインです。
- 夕方や夜間、薄暗い部屋にいるときに限って目の奥が重く痛む
- 薄暗い環境で作業していると、眉間のあたりに締め付けられるような頭痛が走る
- 電灯の光が異様にまぶしく感じられ、視界全体に白い霧がかかったようにかすむ
- 吐き気まではいかないものの、暗い場所で何となく胃のあたりがムカムカする
これらの症状は、明るい部屋に移動して瞳孔が縮小すると隅角が開き、眼圧が正常に戻るため、数時間で自然に消失してしまう特徴があります。そのため、多くの人が「一時的な偏頭痛」や「眼精疲労」として片付けてしまい、眼科を受診しないまま放置されがちです。しかし、この小さなサインは、やがて訪れる大発作の予兆に他なりません。