Mrs. GREEN APPLEの『青と夏』の歌詞がなぜこれほどまでに多くのリスナーの胸を打つのか。その最大の理由は、「誰もが青春の主人公になれるわけではない」という現実を肯定している点にあります。
歌詞の中盤に登場する「主役の居ない 誰もが特別じゃない 世界で」という一節は、キラキラした恋愛や輝かしい思い出ばかりが青春ではないという冷徹な視線を含んでいます。しかし、楽曲はそこで終わりません。「映画じゃない 僕らの日常だ」と歌い上げることで、特別ではない日々の葛藤や切なさこそが、かけがえのない青春そのものであると強く肯定してくれるのです。
夏の青空を想起させる爽快な曲調でありながら、聴く人の境遇によって「背中を押される応援歌」にも「甘酸っぱい追憶の歌」にも変化する多面的な歌詞構造こそが、この楽曲の真骨頂と言えます。