もうひとつ、強烈なインパクトを与えるのが「祁答院(けどういん/けとういん)」という苗字だ。初見で正しく読める人間は極めて少ない。薩摩国薩摩郡祁答院(現在の鹿児島県薩摩川内市・さつま町周辺)を発祥とするこの名字は、平安末期から鎌倉時代にかけて成立した荘園の名に由来する。
この特異な姓をサブカルチャー界隈に知らしめた立役者が、カルト的人気を誇るホラーゲーム『コープスパーティー』シリーズの生みの親である祁答院慎氏だ。陰影に満ちた恐怖劇を描き出すクリエイターの名として、この古代荘園に根ざす姓は独特の不気味さと格式を醸し出していた。血統と土地の記憶が、何百年もの時を経て創作の世界に影響を与える力には驚かされる。