物語が血みどろの抗争へと雪崩れ込む発端となったのは、池元組と村瀬組の不可解な親密関係でした。村瀬組(組長・村瀬=石橋蓮司)は山王会傘下ではない独立組織でありながら、池元と村瀬は個人的に「兄弟分の盃」を交わしていました。二人は表向き義兄弟の契りを結びながら、裏では麻薬密売などのシノギで私腹を肥やしていたのです。
しかし、山王会本家の関内会長は、自らの統制が及ばない村瀬組の存在を疎ましく思っていました。そこで関内は、池元に対して「お前、村瀬と仲が良いらしいな」と暗に圧力をかけ、村瀬組を締め上げるよう揺さぶりをかけます。本家からの叱責を恐れた池元は、自身の手を汚すことなく村瀬組を叩くため、配下の大友組を謀略の駒として利用することを思いつきます。
池元は「村瀬のシマ(縄張り)でうちの若い衆が揉め事を起こされた格好にして、ちょっと小突き回してこい」と大友に命じます。大友組は親分の命令に従い、村瀬組のぼったくりバーを端緒として抗争を仕掛けますが、事態は池元の浅薄なシナリオを遥かに超えてエスカレートしていきます。大友組の若頭・水野(椎名桔平)らの過激な暴力により、村瀬組幹部が次々と血祭りにあげられ、泥沼の抗争へと突入していったのです。
さらに池元の凶悪さが際立つのは、抗争が激化すると掌を返し、傷だらけになった村瀬に対して「引退してシノギを全部本家に差し出せば命だけは助けてやる」と仲介人の顔をして現れた点です。大友組を鉄砲玉として使い捨てにし、敵対した村瀬をも罠に嵌めてその利権(カジノや薬物密売ルート)を丸ごと奪い取るという、仁義の欠片もない背信行為を平然と重ねていきました。