展望台選びにおいて、インターネット上で最も頻繁に見受けられる誤解が「標高が高いスカイツリーやトップデッキの方が、メインデッキよりも夜景が美しく見えるはずだ」という先入観です。しかし、夜景鑑賞の実態を視覚心理学と都市空間論の観点から掘り下げると、まったく逆の真実が見えてきます。
展望台の高さが300メートルや400メートルを超えると、地上を走る自動車は砂粒のような点にしか見えず、ビルの窓明かりも平面的に広がってしまいます。全体を俯瞰する「地図を見るようなパノラマ」にはなりますが、街の立体感や動きのエネルギーは減衰します。
それに対し、地上150メートルというメインデッキの高さは、首都高速道路のカーブを描くヘッドライトの帯、赤羽橋交差点付近に現れる「東京タワーの形をした道路の光のシルエット」、増上寺の漆黒の境内と周囲のビル群の明暗差など、都市の陰影と躍動感が最もダイナミックに目に飛び込んでくる黄金の高度です。美しく輝く街の血流をすぐ手の届く距離に感じられる臨場感こそが、メインデッキ夜景の隠された強みなのです。