丑の刻参りで使われる藁人形の五寸釘を使う理由には、古代の鉄信仰と呪術的意味合いが存在します。約15センチメートルに及ぶ長大な五寸釘は、かつて貴重かつ強大な力を持つと信じられていた「鉄」の力で霊的な結界を打ち破り、相手の魂を人形に縛り付けて封印する意味を持っていました。
民俗記録に残る藁人形の作り方や構造を見ると、藁を編んで人型を模し、内部に対象者の髪の毛、爪、写真、あるいは名前を書いた紙を封入する「類感呪術(るいかんじゅじゅつ)」の手法が取られています。対象者の一部を取り込むことで、人形に加えた苦痛がそのまま本人へ届くと信じられていました。
しかし、古くから人を呪わば穴二つという言葉が示す代償が戒められてきた通り、激しい怨嗟を抱き続ける行為は術者自身の精神をも蝕みます。医学・心理学の視点から見れば、藁人形の呪いによる効果の正体は、相手が「呪われている」と知ったことによる極度のストレスや自己暗示(ノーシーボ効果)に他ならず、呪詛を行う側もまた強い執着によって心身を破滅へと追い込みます。