荒木とよひさの経歴を語る上で欠かせないのが、作曲家・三木たかしとの黄金コンビ、そしてアジアの歌姫テレサ・テンとの出会いです。1984年の「つぐない」、1985年の「愛人」、1986年の「時の流れに身をまかせ」の3部作は、日本有線大賞および全日本有線放送大賞で前人未到の3年連続東西グランプリ制覇を成し遂げました。
荒木氏が紡ぎ出す歌詞の特徴は、女性の切ない情念と凛とした気品が同居する独特の世界観にあります。三木たかしの哀愁を帯びたメロディと、テレサ・テンの透明感あふれる歌声が融合したことで、単なる歌謡曲の枠を超えた普遍的な芸術作品へと昇華しました。
荒木氏の代表曲は演歌・歌謡曲にとどまりません。坂本九の遺作となった「心の瞳」は、現在も日本全国の中学校・高校の合唱コンクールで歌い継がれ、若い世代にもその言霊が浸透しています。また、初期の代表作である「四季の歌」は荒木氏自身が作詞・作曲を手掛けた原点であり、日本の四季と人の優しさを簡潔な言葉で表現した傑作です。