歌の腹式呼吸ができない決定的な理由|プロが明かす正しい発声法

歌の腹式呼吸ができない決定的な理由|プロが明かす正しい発声法

歌の腹式呼吸ができない決定的な理由|プロが明かす正しい発声法にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

そもそも、なぜ「お腹を意識するだけ」では歌えないのでしょうか。その理由は、呼吸の主役である「横隔膜(おうかくまく)」の解剖学的な構造に隠されています。

肺自体には自力で膨らんだり縮んだりする筋肉が存在しません。ドーム状の筋肉である横隔膜が下がることで胸腔内の圧力が下がり、外気が肺へと引き込まれます。これが「腹式呼吸(横隔膜呼吸)」の基本的なメカニズムです。

しかし、横隔膜は自律神経に支配された「不随意筋」に近い性質を持っており、自分の意志で「横隔膜の右側を5センチ下げる」といった直接的なコントロールは不可能です。それにもかかわらず、多くの歌い手が「お腹を力でコントロールしよう」と力むため、横隔膜の滑らかな収縮と弛緩を阻害してしまいます。

さらに見落とされがちなのが、「過剰吸気(息の吸いすぎ)」による呼気の破綻です。「長いフレーズを歌うために、限界まで息を吸い込もう」とすると、胸腔内圧が過剰に高まり、声帯に一気に強い息が激突します。声帯はその強い風圧に耐えきれず吹き飛ばされるか、あるいは息漏れを防ごうとして喉を強く絞めつける反応(過緊張発声)を起こします。これが「息が続かない」「高音が出ない」現象の正体です。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。