榊原郁恵さんを語る上で避けて通れないのが、30年以上に及ぶ夫・渡辺徹さんへの手厚い健康管理と看病の日々です。おしどり夫婦として広く知られた二人でしたが、その裏側には壮絶な病との闘いがありました。
渡辺徹さんは30代の頃から糖尿病を患い、日々の食事制限が不可欠でした。榊原さんは多忙な芸能活動の合間を縫い、栄養バランスと徹底した減塩を両立させたオリジナルレシピを考案するなど、家庭内でのサポートに尽力してきました。当時のインタビューや手記においても「夫の命を預かっているというプレッシャーがあった」と率直な胸中を明かしています。
2012年の急性心筋梗塞による緊急手術、2016年からの人工透析導入、2026年の大動脈弁狭窄症の手術と、次々と試練が訪れる中でも、榊原さんは常に笑顔を絶やさずメディアの前に立ち続けました。夫を不安にさせまいと明るく振る舞い続ける姿勢は、世間から大きな賞賛を集めた一方で、家族介護者としての心理的・肉体的負担(ケアギバー・ストレス)は計り知れないものがありました。
2026年11月に渡辺徹さんが旅立った直後、長男でタレントの渡辺裕太さんと共に行った記者会見で見せた気丈な受け答えは、日本中に深い感動と同時に強い心配を与えました。「徹さんは最後まで笑顔を愛した人だった」と涙を拭いながら語る姿の裏には、極限状態を乗り切ったあとに訪れる心身の疲労が濃く滲み出ていたのは紛れもない事実です。