南京町を語る上で避けて通れない二大巨頭が、元祖豚饅頭の「老祥記(ろうしょうき)」と、焼小籠包の「YUNYUN(ユンユン)」です。平日であっても店前には長い列が形成されますが、そこには観光客を惹きつける必然的な理由が存在します。
まず、南京町広場の目の前に店を構える「老祥記」です。1915年(大正4年)創業、中国・天津地方の伝統的な「天津包子(テンチンパオツ)」を日本人の味覚に合わせて改良し、「豚饅頭」という呼び名を日本で初めて生み出した発祥の地として知られます。老祥記の豚まんに行列ができる理由は、歴史の看板だけではありません。何よりの魅力は、ガラス越しに見える熟練職人たちの圧倒的な手作業と、蒸したてでしか味わえない特有の風味にあります。
独特の麹(こうじ)発酵を用いた自家製の皮は、ほんのりとした酸味と強い弾力を持ち、一口頬張ると中から豚ミンチとネギの濃厚な醤油ベースの肉汁が溢れ出します。小ぶりなサイズ感でありながら圧倒的なパンチを備えており、1個単位ではなく3個・6個・10個といった単位で購入するファンが引きも切りません。職人がその場で包み、大釜の蒸籠で次々と蒸し上げるため、列の進み自体は意外なほど迅速です。20人から30人程度の並びであれば、15分から20分前後で購入できるケースがほとんどです。
一方、長安門近くに位置する「YUNYUN」は、ビーフンで国内トップシェアを誇るケンミン食品が直営する点心専門店です。看板メニューである「焼小籠包」は、厚めの生地の底面を鉄鍋で香ばしくカリカリに焼き上げ、上部はふっくらと蒸し上げられた二層の食感が特徴です。箸を入れた瞬間に飛び散る熱々のコラーゲンスープは旨味が凝縮されており、SNSでの拡散も手伝って若年層を中心に絶大な支持を集めています。
YUNYUNの焼小籠包の待ち時間については、注意が必要です。鉄鍋で一定時間をかけて丁寧に焼き上げる調理プロセスの都合上、老祥記に比べて回転速度がやや緩やかになります。土日祝の昼時(12時〜14時)には40分から50分以上の待ち時間が発生することも珍しくありません。比較的スムーズに購入したい場合は、平日の11時前、あるいは昼のピークを外した16時台のアイドルタイムを狙うのが賢明な選択です。