「守ると護るの違い」を根本から理解する上で欠かせないのが、常用漢字表における位置づけと漢字本来の成り立ちです。文化庁の「常用漢字表」において、「守」には「シュ・ス・まも(る)・もり」という音訓が明記されています。一方で「護」には音読みの「ゴ」のみが掲載されており、「まも(る)」という訓読みは表外訓(常用漢字表にない読み)として扱われています。
漢字の成り立ちを見ると、そのニュアンスの差は極めて明白です。「守」は家屋を表す「宀(うかんむり)」に、手を表す「寸」を組み合わせた会意文字で、「枠組みや内側にとどまり、乱れないように見張る」という意味を持ちます。そのため、「約束を守る」「法律を守る」「時間を守る」といったルール・秩序の維持に対しては、必ず「守る」を使用します。
対する「護」は、言葉を意味する「言(ごんべん)」に、鳥を手で捕らえる象形である「蒦(カク)」を組み合わせた文字です。「手で覆いかぶせるようにして、言葉でかばい助ける」という意味合いが根底にあります。「身を護る」「命を護る」「愛する人を護る」といった、危害から直接的に庇護(ひご)する行為に対して文学的に用いられる背景には、この文字本来の防御的な熱量が関係しています。