ホタルイカの身投げ遭遇率を上げるためには、発生しやすい気象条件の完全なパターンを理解することが不可欠です。現地で長年観測を続けるベテラン愛好家や漁業関係者の証言を総合すると、爆湧きを誘発する要素は以下の通り厳格に絞り込まれます。
最も重要な要素は「新月(闇夜)」です。ホタルイカには月明かりを感知して深場へと潜航する性質(走光性および深度調整行動)があります。月が明るい夜は浅瀬に近づきませんが、新月前後の月明かりがない夜は方向感覚を失いやすく、波打ち際の浅瀬まで一気に浮上してきます。
次に決定的なのが「南寄りの風(陸から海へ吹く出し風)」です。南風が吹くと、沿岸の表層水が沖合へと押し流され、それを補うように深海から冷たく清澄な海水が浅瀬へ湧き上がる「湧昇流(ゆうしょうりゅう)」が発生します。深海にいたホタルイカの群れはこの湧昇流に乗って一気に浅瀬へと押し上げられます。逆に北風(海から岸へ吹く向かい風)は海面を波立たせ、濁りを発生させるため、ホタルイカは警戒して深場にとどまり接岸しません。