ウールリッチの歴史を語るうえで避けて通れないのが、アウトドア史に燦然と輝く2大名作アウター、「マウンテンパーカー」と「アークティックパーカ」です。この2系統は、タグ以外のディテールからも極めて正確な年代特定が可能です。
マウンテンパーカーの年代判別:ファブリックとスナップボタンの秘密
1970年代に爆発的普及を遂げたウールリッチのマウンテンパーカー。タグによる判別と並行して確認したいのが、素材の混紡率と付属パーツです。
ウールリッチのマウンテンパーカー年代を見極める際、まずはファブリック表記を確認してください。コットン60%・ナイロン40%の黄金比率で織り上げられた「60/40(ロクヨン)クロス」の表記タグが白タグとともに縫い付けられていれば、70年代から80年代初頭の黄金期モデルと特定できます。また、フロントのスナップボタンに刻印がなくプレーンな金属の質感のものは70年代前期に多く、80年代に進むにつれて「WOOLRICH」の刻印入りスナップボタンやプラスチック補強パーツへと仕様が近代化されていきます。
アークティックパーカの年代判別:ワークウェアから都会派ダウンへの進化
1972年、アラスカのパイプライン建設現場で働く労働者のために開発された極寒冷地用防寒着「アークティックパーカ(Arctic Parka)」。この名作のアークティックパーカ年代判別には、ブランドの経営構造の転換が深く関わっています。
70年代〜80年代に製造された初期アークティックパーカは、武骨なビッグシルエットでシェルには厚手のロクヨンクロスが採用され、首元には「白タグ(70s)」または「紺タグ(80s)」が鎮座し、誇らしげに「MADE IN U.S.A.」が刻まれています。この時代のUSA製個体は球数が激減しており、ヴィンテージ買取査定でも5万円以上の高額が提示されるケースが珍しくありません。
一方、1990年代以降、イタリアの名門ディストリビューター「WPラヴォリ(WP Lavori)社」がデザインを手掛けるようになると、現代的なタイトシルエットへと再構築され、ファッションアイテムとしての地位を確立しました。日本国内流通品の場合、内タグにある輸入代理店表記を見ることで正確な年式が絞り込めます。
2000年代中盤〜2010年代初頭に流通したものは「スープリームスインコーポレーテッド(株)」、その後2010年代半ばから2018年頃までは「ウールリッチジャパン(株)」、以降は「コロネット(株)」や現行の直営体制へと移り変わっています。古着市場でモダンなダウンを探す際は、内側の品質表示タグに記載された代理店名を照合するのが最も確実な鑑定法です。