9月13日の日本史において、最も心理的・精神的な激震をもたらした出来事といえば、1912年(大正元年)9月13日に起きた陸軍大将・乃木希典とその妻・静子の殉死です。この経緯は単なる軍人の死にとどまらず、明治という時代の終焉を日本国民に強烈に刻み込みました。
明治天皇の大葬が青山練兵場で行われたその夜、乃木夫妻は東京・赤坂の自邸において自刃を遂げました。公刊された遺書によると、西南戦争の折に連隊旗を奪われた痛恨の過去から「いつの日か死所を得たい」と願い続けていた心情が吐露されていました。当時の新聞号外が配られた瞬間、街中が言葉を失うほどの衝撃に包まれたと記録されています。この事件は、夏目漱石が『こころ』の先生の遺書として昇華させ、森鴎外が『興津弥五右衛門の遺書』を執筆する契機となるなど、近代日本文学の骨格そのものに決定的な影響を及ぼしました。
一方で戦後から平成にかけての9月13日は、前述した『北斗の拳』の連載開始(1983年)や『スーパーマリオブラザーズ』の発売(1985年)など、日本発のコンテンツが世界を席巻する起点へと変貌を遂げていきます。陰影の濃い近代の終焉と、躍動感あふれる大衆カルチャーの夜明けが、同じ「9月13日」という日付を軸に交差している点は極めて興味深い歴史の巡り合わせです。