女優としての地位を固めつつあった彼女が挑んだもう一つの怪作が、1996年にテレビ朝日で放送された『イグアナの娘』だ。我が子をイグアナの姿にしか見えないと忌み嫌う母親という、極めて異様で残酷な役どころを見事に演じ切った。毒親の葛藤、自己嫌悪、歪んだ母性愛を冷徹な眼差しで表現し、視聴者に強烈なトラウマと感動を残した。
当時の日本のテレビドラマ界はトレンディドラマの全盛期を経て、より深層心理や家族の暗部を描く物語へとシフトしていた時期だった。彼女が見せた狂気のリアリティは作品の評価を決定づけ、単なる美魔女や清純派とは一線を画す、演技派としての圧倒的な存在感を世に見せつける結果となった。