SNSや知恵袋、労働問題の相談窓口では、「店長に有給を取りたいと言ったら『パートにはそんな制度ないよ』と一蹴された」「有給を使うならシフトを外すと言われた」という悲痛な声が今なお散見されます。なぜ現場ではこのような違法な対応が横行するのでしょうか。取材データと現場分析から見えた3つの構造的要因を紐解きます。
① 現場責任者・店舗管理者の深刻な労務知識不足
小規模店舗や中小企業において、店長やマネージャーが労働基準法第39条の比例付与ルールをそもそも理解しておらず、「正社員だけの特権」と長年思い込んでいるケースが圧倒的に多く見られます。
② 人手不足による業務崩壊への恐怖と「代替者確保」の強要
「有給を取るのは自由だが、代わりにシフトへ入る人を自分で探してきて」という対応は典型的な違法行為です。労働基準法上、有給休暇は労働者が指定した日に取得するのが原則(時期指定権)であり、代替要員の確保は使用者の業務管理責任に属します。会社側が時期を変更できる「時季変更権」は、事業の正常な運営が著しく妨げられる極めて限定的な場合にしか行使できません。
③ 人件費抑制を目的とした意図的な権利隠蔽
有給休暇を取得されると、稼働していない時間に対して賃金を支払う必要があるため、人件費予算を抑えたい経営層や店長が意図的に制度の存在をアナウンスしない構造的怠慢が存在します。
労働基準法第119条では、有給休暇を与えなかった使用者に対して「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が規定されています。また、有給を取得したことを理由に解雇や減給、シフト削減などの不利益な取り扱いをすることは同法第136条で明確に禁じられています。