キックボードの事故検証データにおいて、直進時以上にトラブルが集中しているのが「旋回」と「制動」の局面です。タイヤの直径が自転車(26〜28インチ)に比べて極めて小さい(一般的に8〜10インチ程度)ため、急激な挙動の変化に対して車体が敏感に反応しすぎることが主な要因となっています。
カーブを曲がる際、初心者は腕の力だけでハンドルを無理に回そうとしがちです。しかし、直立したまま急ハンドルを切ると、遠心力に負けて外側へ体が投げ出されるか、前輪が切れ込みすぎて横転してしまいます。安全でスムーズな曲がり方の基本は、スピードを十分に落とした上で、曲がりたい方向へ骨盤からわずかに体重を預ける「バンク(車体の傾き)」を活用することです。目線を曲がった先の出口へしっかり向け、膝を柔らかく使って内側の足へ軽く加重することで、ハンドルを大きく切らなくても自然な弧を描いて曲がることができます。
次に、最も慎重な操作が求められるのがキックボードのブレーキのかけ方です。前後のブレーキレバーを備えた車両の場合、絶対に避けるべきなのが「前輪ブレーキだけの急入力」です。走行中に前輪だけを急激にロックさせると、慣性の法則によって車体後部が跳ね上がり、運転者が前方へ頭から投げ出される「ジャックナイフ現象」を引き起こします。ブレーキをかける際は、まず腰をわずかに後ろへ引き、重心を後輪側へ移しながら後輪ブレーキを先に利かせ、その後に前輪ブレーキをじんわりと絞り込んでいく2段階の操作を徹底してください。