SNSやネット掲示板などで「プロ野球選手が50メートルを5秒5で走った」「陸上未経験のタレントが5秒7を記録した」といった話題を目にすることがあります。しかし、陸上界の常識から見ると、これらには大きな計測上のカラクリが存在します。
公式な陸上競技において、屋外50メートル走は正式種目としてほとんど実施されていません。日本陸上競技連盟が公認する記録として近いものは「室内60メートル走」であり、その日本記録保持者(サニブラウン・アブデル・ハキーム選手らトップアスリート)の通過タイムを電動計測で50メートル換算した場合でも、5秒6〜5秒7台となります。
つまり、プロ野球のスカウト計測や学校のスポーツテストで散見される「5秒台前半〜半ば」の記録は、ほぼ例外なく「手動計測」によるものです。人間が視覚で旗や煙を確認してボタンを押す手動計測は、反応遅れや目測のズレにより、光電管を用いた電気計時よりも0.2秒〜0.4秒ほど速く出る傾向があります。さらに「追い風参考」や「フライング気味のスタート」が含まれているケースも多いため、ネット上の驚異的なタイムを鵜呑みにして過度に落ち込む必要はありません。
【プロの結論】短期間で効果が出る人・見直すべきトレーニング法
短期間で確実に50メートル走の記録を伸ばせる人の特徴は、「自分の走りを客観的に動画で確認し、力みを手放せる人」です。がむしゃらに走る本数を増やすのではなく、1歩ごとの接地位置やスタート時の前傾角度をスマートフォンで撮影し、フォームのブレを修正するアプローチを取る人ほど、短期間で0.3秒以上の飛躍的な成長を遂げます。
一方で、おすすめできないのは「いきなり全力疾走の反復練習ばかりを行うこと」です。太ももの裏側(ハムストリングス)やアキレス腱に過度な負荷がかかり、肉離れなどの怪我を引き起こすリスクが高まります。まずは縄跳びでのバウンディング(弾む感覚の習得)や、ミニハードルを用いたピッチ走など、身体の使い方を覚えるドリルから段階的に取り組むことが成功への近道です。