光の届かない土中で、幼虫たちの唯一の糧となるのが植物の根から分泌される樹液である。幼虫は頑丈な口器を細根に突き刺し、微少な水分とアミノ酸を吸い上げる。一見すると乏しい栄養源だが、彼らの代謝速度は極限まで低く抑えられており、わずかな栄養分を無駄なく身体の成長へと変換する。
かつて昆虫記者の草分けとして知られた故・矢島稔氏が数多くの著書で指摘した通り、地下の環境は決して安全なパラダイスではない。モグラやケラといった天敵、さらには土壌菌による病気のリスクと隣り合わせだ。狭い土中空間で死と隣り合わせになりながら、幾重もの脱皮を繰り返して身体を大きくしていく姿勢には、苛酷な生存競争を勝ち抜く強靭な生命力が宿っている。