騒動が過熱する中で、ネット上では「なぜ玉木氏は即座に議員辞職や代表辞任をしないのか」「身内贔屓で逃げ切るつもりではないか」という疑問が渦巻きました。しかし、国民民主党における辞任・離党をめぐる力学には、外部からは見えにくい党組織固有の事情が存在していました。
第1の盲点は、当時の国民民主党が「玉木雄一郎の個人商店」と揶揄されるほど、玉木氏個人の発信力とメディア露出に依存していた点です。即座に代表を更迭した場合、発足したばかりの税制協議や連立政権との政策合意が根底から瓦解する懸念が所属議員の間に広がっていました。榛葉賀津也幹事長が会見で「玉木氏の政策実現力に賭ける」と繰り返し強調したのは、倫理的な免罪ではなく、党の生存を優先した苦渋の判断でした。
第2の論点は、党倫理委員会における役職停止処分をめぐる手続きの錯綜です。一般の有権者は「役職停止=代表辞任」と捉えがちですが、党規約上の懲罰規定では、役職停止期間中の代表権の扱いについて明確な前例がありませんでした。党内からは「一定期間の公務自粛や役職停止を課すべき」との強硬論が出たものの、最終的には「特別党員を含む両院議員総会での信任」という形を取り、事実上の続投を決定しました。
この決定が「身内による甘口の幕引き」と受け止められたことで、ネット上の誤解と反発はさらに激化しました。「政策のために倫理を棚上げにした」という政治的代償は、党全体のクリーンなイメージに深い傷痕を残す結果となったのです。