稲葉通陽の最大の武器は、クラシック音楽の伝統に根ざしたバイオリン演奏と、ストリートやアクロバットの身体性が同居している点です。バイオリンは4歳の頃から本格的なレッスンを受けており、絶対音感を持つことでも知られています。過去のテレビ特番や動画コンテンツでも、即興で音を拾ってメロディを再現する姿が幾度となく捉えられてきました。
一方で、SpeciaLというグループは全員が高いアクロバットスキルを持つフィジカル集団です。稲葉通陽自身もロンダートやバク転などのアクロバット技を自在にこなし、激しいダンスナンバーを踊り切ります。「バイオリン奏者の指先は繊細で怪我を極度に恐れるのがクラシック界の常識」とされる中、マット運動や跳躍技に果敢に挑み、両者を高い水準で成立させている事実は驚嘆に値します。
さらに、彼が操るのはバイオリンにとどまりません。ベース、ピアノ、トランペット、さらにはピッコロやフルートなど、多岐にわたる楽器の基礎を身につけています。この幅広い音楽的素養が、舞台『椿説 三銃士』や『魔女の宅急便』などの本格演劇において、演出家の細かなリズム指定や歌唱指導に対する卓越した適応力となって結実しています。