今後の世界遺産をめぐる勢力図はどのように変化していくのでしょうか。現在のユネスコ世界遺産委員会では、明確な方針転換が進められています。
第一のトレンドは、「グローバル・ストラテジー(不均衡の是正)」の徹底です。ヨーロッパの記念碑的建造物への偏りを改めるため、アフリカ諸国や小島嶼開発途上国など、遺産保有数がゼロまたは極めて少ない国からの推薦が最優先で審議される枠組みが定着しています。これにより、既存の保有上位国が新規登録を勝ち取るハードルは飛躍的に高まりました。
第二のトレンドは、「シリアル・ノミネーション(連続性遺産)」および国境を越える「トランスバウンダリー・ヘリテージ」の増加です。単一の建造物ではなく、共通の歴史的テーマや生態系を持つ複数の拠点を束ねて推薦する手法が主流化しており、国家間の協調が登録の鍵を握っています。