布施明が歌い、1975年の日本レコード大賞を受賞した歴史的名曲『シクラメンのかほり』。この楽曲のタイトルには、妻の名前「佳穂里(かほり)」が密かに重ね合わされているというエピソードはあまりにも有名だ。
実際にシクラメンの花には本来、際立った香りが少ないとされる。にもかかわらず「真綿色したシクラメンほどすがすがしい女(ひと)はない」と詠われた詞には、愛妻に対する深い愛着とリスペクトが込められていた。言葉遊びのようでありながら、夫婦の揺るぎない絆が名曲の誕生を後押しした事実は、音楽史における心温まる逸話として語り継がれている。