高度経済成長期の象徴として誕生した東海道新幹線は、半世紀以上にわたる綿密な補強工事によってその健全性を保ってきた。法面(のりめん)の崩壊防止や橋脚の耐震補強はほぼ完了しているが、地球温暖化に伴う「想定外」の気象現象は、既存の構造物の物理的限界を執拗に試してくる。
台風通過後の安全確認作業においても、大きな変化が起きている。かつては保線員が徒歩や作業用車両で膨大な距離を目視点検していたため、台風が去った後も運転再開までに長い時間を要していた。現在は自律飛行ドローンや高精度AIカメラを搭載した検査車両が巡回し、架線の切断や飛来物の有無を即座に画像解析。再開までのタイムラグを極限まで削り取るテクノロジーの攻防が裏で繰り広げられている。