かつて「高級和牛」といえば、網の目のように入った美しいサシ(脂肪)の多さが評価の指標だった。しかし、食文化の成熟に伴い、肉好きたちの情熱は「脂の甘み」から「肉そのものが持つ力強い味わい」へとシフトしている。
この変化の最前線に立ち続けてきたのが、徹底した温度・湿度管理のもとで行われる独自のアプローチだ。仕入れる部位ごとに微調整される熟成期間。その日その時の肉の状態を見極め、炭火の遠赤外線でじっくりと熱を伝えていく技術は、時間と火の芸術にほかならない。噛みしめた瞬間に広がる濃厚なナッツのような熟成香と、溢れ出すクリアな旨味は、一度体験すると忘れられない強烈な記憶を残す。