1986年生まれの桑田祐宜。彼が世の中にその存在を示したのは、自身の親が誰であるかを徹底的に隠して始動したバンド「READ ALOUD」だった。2012年の結成当時、ライブハウスのブッキングからCDのプロモーションに至るまで、親の名前を一切出さないという固い決意のもとで活動を継続。親のコネに頼れば容易に掴めたであろうメジャーデビューの道を選択せず、泥臭いインディーズのライブ活動を選んだ姿勢は、当時の音楽業界でも大きな話題を呼んだ。
しかし、活動は平坦ではなかった。「桑田佳祐の息子」という事実がメディアに漏れ出すと、純粋な音楽性よりもバックグラウンドばかりが注目される事態に陥る。本人が望んだ「純粋な評価」とのギャップ、そして音楽的方向性の模索。葛藤の末、バンドは2015年末に活動に終止符を打つ。スポットライトの光線が強いからこそ、落ちる影も深い。彼は一度、マイクを置く決意をしたのだった。