育児現場で頻繁に聞かれるのが「上の歯から先に抜けた」「奥歯が前歯より先にグラついてきた」といった順序のイレギュラーに関する不安です。結論から言えば、抜ける順番が違う影響の多くは一時的な骨格成長のバランスによるもので、直ちに深刻な異常を意味するわけではありません。
しかし、中には医学的な介入が必要となる原因が潜んでいるケースもあります。特に注意すべきは以下の3つの要因です。
第一に、永久歯が生えてこない原因として臨床で多く見られるのが「萌出遅延」と「先天性欠如」です。歯肉の線維が硬く厚いために永久歯が頭を出せない場合や、生まれつき永久歯の種(歯胚)が存在しない先天性欠如の割合は、日本小児歯科学会の全国調査でも約10人に1人の頻度で確認されています。
第二に、「過剰歯(本来の本数より多く作られた歯)」が骨の中に埋まっているケースです。特に上の前歯の間に逆向きに埋まる「正中埋伏過剰歯」が存在すると、永久歯の萌出進路が物理的に遮られ、前歯がいつまでも生えてこなかったり、開いたまま閉じなくなったりします。
第三に、歯の生え変わり早すぎる理由として挙げられるのが、過去の転倒などによる外傷や、重度の乳歯虫歯による根尖病巣です。乳歯の根が炎症を起こすと周囲の骨吸収が早まり、通常より1〜2年以上早く脱落してしまうことがあります。早期に乳歯を失うと、隣接する歯が傾斜して永久歯の萌出スペースを塞いでしまうため、保隙装置(スペースリテーナー)による隙間の確保が必要不可欠となります。