ネット上の情報では「イモリの尾が切れても生えてくる」といったトカゲと同等の自切現象として語られるケースが目立ちます。しかし、分子生物学や発生生物学の観点から見ると、イモリの能力はトカゲの自切とは次元が異なります。
トカゲの再生尾は軟骨で支えられた不完全な構造であり、一度失った元の骨格系や神経系を完全復元することはできません。これに対してイモリは、四肢の骨・筋肉・血管・神経系を寸分違わず完全に再生させることができます。そればかりか、眼の水晶体(レンズ)や網膜、さらには心臓の筋肉組織や脳の一部が欠損しても、元の正常な機能を持った組織へと再生させることが学術的に証明されています。
脱分化と呼ばれるこの細胞初期化メカニズムは、現代の再生医療におけるヒト組織再生研究のモデル生物として、筑波大学などの研究機関で精力的に解析が進められています。身近な田園に潜むこの小動物は、地球上の脊椎動物の中で最高峰の再生ポテンシャルを秘めた存在なのです。