現場のデザイン制作現場や同人即売会、地域振興イベントの現場では、江戸文字フォントの運用を巡ってどのようなトラブルや苦悩が起きているのでしょうか。SNS上の告白やデザイン知恵袋、実際のクリエイターへの聞き取りから見えてきた生々しい声を紹介します。
都内の印刷会社に勤務するDTPオペレーター(30代男性)は、次のように打ち明けます。「地域の夏祭りのポスター制作を請け負った際、実行委員会から持ち込まれた原稿データに、某社の無料教育用勘亭流フォントが使われていました。『協賛企業名』や『特別ゲストの名前』を入力しようとしたところ、漢字がことごとく文字化けして表示されなかったのです。調べると教育漢字1,006字しか収録されておらず、結局、有償の年間サブスクリプション(年間数万円)を急遽自費購入して差し替えました。現場でのフォントトラブルは納期直前の致命傷になります」。
また、江戸文字フォントMac対応に関するトラブルも頻発しています。大手掲示板やSNSでは「2000年代初頭に作られた個人配布の寄席文字フリーフォントを最新のmacOSにインストールしたところ、Font Bookでエラーが出て認識されない」「Illustrator上でアウトライン化するとパスが崩れて極太の墨だまりが消えてしまう」といった悲鳴が散見されます。古いTrueTypeフォント(.ttf)は現在のMacの文字コード規格(Unicode準拠)と噛み合わず、思わぬバグを引き起こす原因となっています。
さらに、インバウンド需要で賑わう浅草の飲食店オーナーは「提灯文字フォント無料のデータをネットで拾い、業者に頼んで店頭の提灯文字やのれんを自作したところ、同業者から『そのフォント、有償版の無断使用じゃないか?』と指摘されて背筋が凍った。すぐに専門の描き文字職人に頼み直したが、最初から正規の手順を踏むべきだった」と後悔を滲ませました。