1988年5月、芸能界を揺るがすビッグニュースが駆け巡りました。稀代の構成作家・作詞家として時代の寵児となっていた秋元康氏と、元おニャン子クラブのフロントメンバーとして絶大な人気を誇った高井麻巳子氏の電撃結婚発表です。当時の秋元氏は30歳、高井氏は21歳。約8歳の年齢差もさることながら、世間を最も驚かせたのは「仕掛け人であるプロデューサーが、自ら手掛けたアイドルと結ばれた」という前代未聞の構図でした。
2人の出会いは、1985年にスタートした伝説的バラエティ番組『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系)です。高井麻巳子氏はおニャン子クラブの会員番号16番として加入後、清楚で楚々とした大和撫子的な美貌でたちまちトップクラスの人気を獲得。岩井由紀子氏(ゆうゆ)と結成した派生ユニット「うしろゆびさされ組」では、アニメ『ハイスクール!奇面組』の主題歌を担当し、ソロ歌手としてもチャート首位を獲得するほどの熱狂的人気を誇っていました。
当時の報道や関係者の証言によると、番組スタッフと出演者という厳格な距離感のなかで、秋元氏が彼女の素朴で飾り気のない人柄、聡明な内面に惹かれていったことが馴れ初めの発端とされています。過密スケジュールと世間の狂騒にさらされていた高井氏にとって、精神的な拠り所となったのが秋元氏の知性と包容力でした。グループ解散からわずか数カ月後、芸能界の頂点にいた清純派アイドルが電撃引退と結婚を決断した背景には、芸能界の喧騒から離れ、一人の女性として家庭を築きたいという強い意志がありました。