多くの人を虜にする居酒屋の長芋鉄板焼き。家庭で作る長芋料理と専門店の味を隔てる最大の要素は、「気泡の抱き込み量」と「出汁の旨味濃度」にあります。
一般的な家庭料理では長芋を単純におろし金ですりおろし、醤油で味を調える程度にとどまりがちです。しかし、名店と呼ばれる居酒屋の厨房取材や現役料理人の証言によると、専門店では長芋の粘性多糖類(ムチン様物質)が持つ起泡性を最大限に引き出すため、全卵をしっかりと溶きほぐしてから長芋と激しく攪拌し、空気を含ませる工程を徹底しています。
さらに、専門店が密かに加えている隠し味が「微量のマヨネーズ」または「少量の油分を含んだ鶏ガラスープ・出汁」です。マヨネーズに含まれる乳化された植物油と卵黄が、加熱時に長芋のタンパク質・でんぷんの結合を適度に緩め、スポンジ状のスフレ構造を熱によって強固に維持します。冷めてもしぼみにくく、口の中でとろけるような滑らかさが持続するのは、この油脂の乳化作用が計算されているためです。