単なるゴシップ合戦へと流れがちな報道のなかで、一線を画したのが日本放送協会(NHK)による深掘り取材だった。2014年7月に放送されたNHKスペシャル『調査報告 STAP細胞 不正の深層』は、科学的データと関係者の証言を丹念に積み重ねた秀逸な調査報道ドキュメンタリーとして大きな反響を呼んだ。
番組では、論文に使用された画像データの不自然な加工や、過去の実験ノートのずさんな管理態勢を客観的に検証。メディア自身が過熱した演出に加担していた事実への自己批判も含め、安易なゴシップ消費に流れていた世論の焦点を、科学の正当性と検証システムの限界という本質的な議論へと引き戻す役割を果たした。