なぜリンとグリードは、完全に人格を統合されることなく「ひとつの肉体にふたつの魂」という特異な共存状態を維持できたのでしょうか。その理由は、二人の精神構造と利害の一致にあります。
リンの精神世界に侵入したグリードに対し、リンは一切の怯みを見せませんでした。「民を見捨てる王は愚者」という揺るぎない覚悟を持つリンの魂の器は、底知れない強欲を司るグリードすら呑み込むほど強大だったのです。グリード自身も、自身の傲慢な支配に屈しないリンの強靭な精神に一目置き、無理に自我を消滅させるのではなく、肉体の奥底で眠らせる形を取りました。
表層意識のコントロールは基本的にグリードが握っていましたが、リンの意識も完全に眠っていたわけではありません。鏡や水面、内なる精神世界を通じて互いに会話を交わし、時にはリンが表に出て仲間を助けるなど、次第に奇妙な信頼関係が構築されていきました。身体を奪い合う敵対関係から、互いの目的を理解し合う対等なパートナーへと関係性が変化していったプロセスこそ、グリリンの真骨頂です。